昔、
中学3年生の男の子が、
数学の質問に来ました。
「先生、分かりません。」
見てみると、
中学1年生の一次方程式の問題でした。
私が、
「問題は読んだか?」
と聞くと、
「読んどらんです。」
「何で読まんと?」
「これ、習っとらんです。」
確かに、
教科書ではあまり見かけないタイプの問題でした。
でも、
解くために必要な知識は、
もう習っています。
「はい、じゃあ、ここまで読んで。」
そう言って、
文節ごとに区切りながら、
一緒に読ませていきました。
すると、
「あっ、分かった。なんや。」
そう言ったのです。
23年間、
子どもたちを見てきて、
こんな場面を何度も経験してきました。
少し問題の形が変わると、
「習ってない。」
「分からない。」
「できない。」
と思考が止まってしまうのです。
もちろん、
本当に分からないこともあります。
誰かに教えてもらうことも大切です。
私自身、
たくさんの先生方に教えていただきました。
でも、
その一方で、
私は、
こんな問いを持つようになりました。
教えてもらわないと、できませんか?
これは、
子どもたちを責める言葉ではありません。
私自身への問いでもあります。
開塾した頃は、
一人ひとりに、
丁寧に、
分かりやすく教えることが、
最高の指導だと思っていました。
分からないところを説明し、
図を書き、
解き方を覚えてもらう。
それが優しさだと思っていました。
でも、
いつの間にか、
子どもたちは、
先生が教えてくれるのを待つようになっていました。
「先生、次はどうするんですか?」
「先生、これ習ってません。」
「先生、答えを教えてください。」
もちろん、
質問することは悪いことではありません。
でも、
考える前に、
答えを求めるようになってしまってはいけない。
そう思うようになりました。
だから、
今は、
すぐには教えないことがあります。
「もう一回、問題を読んでみよう。」
「図を書いてみようか。」
「今まで習ったことで、使えそうなものはない?」
そんな問いかけを大切にしています。
AIの時代になって、
知識そのものは、
いつでも手に入るようになりました。
答えも、
すぐに教えてもらえます。
だからこそ、
これから大切になるのは、
答えを知っていることより、
問いを立てること、
考え続けること、
そして、
分からないことに向き合うことなのかもしれません。
総合型選抜でも、
同じことを感じます。
「どんなボランティアをすれば有利ですか?」
「何をしたら受かりますか?」
と聞かれることがあります。
でも、
本当に大切なのは、
自分は何に心が動くのか、
どんな社会課題を解決したいのか、
を考えることです。
それは、
誰かに教えてもらうものではなく、
自分の中から見つけていくものだと思います。
私は、
塾の先生です。
でも、
子どもたちには、
塾がなくても、
自分で学び続けられる人になってほしいと思っています。
教えてもらうことも大切。
でも、
教えてもらわないと、
本当にできませんか?
23年間、
子どもたちと向き合う中で、
私自身が、
問い続けていることです。
(つづく)
伊万里進学塾では、ただ答えを教えるだけでなく、自分で考え、自分で学ぶ力を育てることを大切にしています。
お子さまの学習について気になることがありましたら、体験授業または学習相談をご利用ください。