塾長コラム

子供たちが先生だった

第4話
教えてもらわないと、できませんか?

 

昔、

中学3年生の男の子が、

数学の質問に来ました。

「先生、分かりません。」

見てみると、

中学1年生の一次方程式の問題でした。

私が、

「問題は読んだか?」

と聞くと、

「読んどらんです。」

「何で読まんと?」

「これ、習っとらんです。」


確かに、

教科書ではあまり見かけないタイプの問題でした。

でも、

解くために必要な知識は、

もう習っています。

「はい、じゃあ、ここまで読んで。」

そう言って、

文節ごとに区切りながら、

一緒に読ませていきました。

すると、


「あっ、分かった。なんや。」


そう言ったのです。


23年間、

子どもたちを見てきて、

こんな場面を何度も経験してきました。

少し問題の形が変わると、

「習ってない。」

「分からない。」

「できない。」

と思考が止まってしまうのです。


もちろん、

本当に分からないこともあります。

誰かに教えてもらうことも大切です。

私自身、

たくさんの先生方に教えていただきました。


でも、

その一方で、

私は、

こんな問いを持つようになりました。


教えてもらわないと、できませんか?


これは、

子どもたちを責める言葉ではありません。

私自身への問いでもあります。


開塾した頃は、

一人ひとりに、

丁寧に、

分かりやすく教えることが、

最高の指導だと思っていました。

分からないところを説明し、

図を書き、

解き方を覚えてもらう。

それが優しさだと思っていました。


でも、

いつの間にか、

子どもたちは、

先生が教えてくれるのを待つようになっていました。


「先生、次はどうするんですか?」


「先生、これ習ってません。」


「先生、答えを教えてください。」


もちろん、

質問することは悪いことではありません。

でも、

考える前に、

答えを求めるようになってしまってはいけない。

そう思うようになりました。


だから、

今は、

すぐには教えないことがあります。


「もう一回、問題を読んでみよう。」


「図を書いてみようか。」


「今まで習ったことで、使えそうなものはない?」


そんな問いかけを大切にしています。

AIの時代になって、

知識そのものは、

いつでも手に入るようになりました。

答えも、

すぐに教えてもらえます。

だからこそ、

これから大切になるのは、

答えを知っていることより、

問いを立てること、

考え続けること、

そして、

分からないことに向き合うことなのかもしれません。


総合型選抜でも、

同じことを感じます。

「どんなボランティアをすれば有利ですか?」

「何をしたら受かりますか?」

と聞かれることがあります。

でも、

本当に大切なのは、

自分は何に心が動くのか、

どんな社会課題を解決したいのか、

を考えることです。

それは、

誰かに教えてもらうものではなく、

自分の中から見つけていくものだと思います。

私は、

塾の先生です。

でも、

子どもたちには、

塾がなくても、

自分で学び続けられる人になってほしいと思っています。

教えてもらうことも大切。

でも、

教えてもらわないと、

本当にできませんか?

23年間、

子どもたちと向き合う中で、

私自身が、

問い続けていることです。

(つづく)

伊万里進学塾では、ただ答えを教えるだけでなく、自分で考え、自分で学ぶ力を育てることを大切にしています。
お子さまの学習について気になることがありましたら、体験授業または学習相談をご利用ください。